仄暗い井戸の底から…
仄暗い井戸の底から…人は何が出てくると感じ、恐怖するのでしょう?
古くは、お菊さん?
近年では井戸に落とされた貞子…?
小野不由美原作の漫画で読んだ、取り付いて殺した子供たちの霊を従えて出てくる、自分の幼い娘を失った母親の霊…(←怖いよ~)
井戸は本来、水を得るために掘るもので、それ以外の何かが浮かんだり沈んだりしていてはいけないものなのに、水(生と死の象徴)✙深くて暗い✙落ちることへの恐怖…などが渾然一体となって、時に不吉なイメージがつきまとうのかもしれませんね。
前回に引き続き、やはり我が家のご近所の話です。
二十年近く昔、ミニ開発(※1) の 4棟現場(※2) がありました。
※1 一般的に、1000㎡未満の土地を細分化して敷地面積100㎡未満の小規模宅地や建売にすること。
※2 数棟一緒に建設中の現場を、不動産屋さんは町名と棟数で特定するために、「△△町の◯棟現場」と呼ぶ。
そこは以前、広い敷地に平屋が一棟あり、和服問屋を営んでいた年配女性が、一匹の犬と住んでいたそうです。
もっとも、私が、初めて通り掛かった時は、既に女性が亡くなり、一つの敷地が4つに分けられ、建売住宅が建てられ、2棟ほど入居した後でした。
そのうち一棟だけが、2年近く経っても売れず、ようやく若いご夫婦が買ったものの、わずか2~3年で売りに出されました。
どこかの会社が買い上げて社宅扱いにしたとのことで、小さな子供のいるご夫婦が入居しましたが、やはり2~3年で引き払い、売家に–––
そんな時です。近くのクリーニング屋さんにコートを出しに行き、その家の話になったのは…。
父親の仕事も家も継いで、ずっとこの町を見てきたクリーニング屋さんが言うには、
「昔、着物屋のおばあちゃんが住んでた頃、ちょうどあの家の場所に井戸があったんだよね。だからかなぁ、あそこだけ、いつも人が変わるよね。」
井戸跡地は、もちろん告知事項でもなく、価格面での差もありません。
ただ、何かあった時には、イメージとして、マイナス要因なのでしょうか…。
ちなみに、その後、やはり若いご夫婦が購入。入居して十余年、子供が3人生まれて元気に育ち、仲良く暮らしています。
井戸のマイナス評価を払拭しましたね。
シロンちゃん on ハイビスカス
日々の暮らしの中に、ちょっと良いことがありますように…